皆さん、こんにちは。ふじたやすしです。
さて、
先のエントリでまたしても転職するかもという話を書きましたが、きょうは新しい勤務先で着手する予定の業務内容も踏まえ、私のシゴトである技術の話にお付き合いください。
ただし、不動産ご購入をお考えの方にとってはちょっと退屈かもしれません。
次の勤務先では、中堅・中小企業(含む外資系)向けの ERP システムの構築・導入を行う予定です。
ERP システムとはよく「統合業務パッケージ」と訳されますが、企業における基幹業務、具体的には受発注、生産・販売・在庫管理、財務会計、人事などの業務を統合的に扱えるようにするためのソフトウェア・パッケージ・システムです。ERP を用いることによって、基幹業務全体を連携させ、効率的な企業経営を実現できるというのが大方の ERP ソフトウェアの宣伝文句になっています。
たしかに、売上の遷移を元に生産や在庫、あるいは人員の調整を行ったり、さらには次期予算の策定などが行えれば便利ですよね。
ERP とは、実は新しい概念などではなく、1990 年代にはかなりの企業がそれを導入しました。しかし、実際には導入の効果はそれほど出なかったと言われています。
その理由としては、当時はパソコンやインターネットなどがやっとポピュラーになり始めた頃で、パソコンを端末として使う ERP システムの操作性じたいにエンドユーザ、つまり企業担当者の皆さんが不慣れだったという点が多分に考えられます。
あるいは、ERP を動かすにあたっては、従来紙ベースや手計算でやっていた業務を ERP に(データとして)落とし込む作業が必要なのですが、もしかしたらその段階でくじけてしまったのかもしれません。
しかし、そこでエンドユーザのコンピュータを使いこなす能力、すなわち「リテラシ」の欠如を責めるのは誤りです。
実は、企業における基幹業務情報システムの歴史は意外に古く、世界的に見ると、早いところでは 1960 年代くらいからそれを取り入れている企業もありました。
そこでの主役は大型コンピュータや日本で言う「オフコン」で、エンドユーザは、表示と入力の機能しか持たない「端末機」を用いて日々データを入力し、そのデータが夜間バッチ処理を通じて計算され、翌朝までには集計帳票として出力されるという仕組みでした。
翻って現代では、大型コンピュータやオフコンはデータベースやファイルなどのサーバに、そして端末機はパソコンに取って代わられるようになりました。帳票だって、一晩置かずともパソコンから要求すればすぐに取り出せるようになりました。
しかし、大型コンピュータ+端末機に慣れた世代の人にとって、パソコンとは実に扱いづらい代物でした。
今でこそ笑い話で済ませられるかもしれませんが、「マウスって何?」という時代があったのは間違いありません。
そういう時期と ERP システムの市場へのデビューの時期とはほぼ重なっていたと言ってもいいでしょう。情報システム導入の決裁権限を持つ企業の重役がパソコンに拒否反応を示し始めた頃での ERP のデビューは、いささかタイミングが悪かったのかもしれません。
でも、21 世紀の現代においては、パソコンもかなり市場に浸透し、企業の重役たちの間でも電子メールなどをはじめとしてパソコンがバリバリ使われるケースが多く出てきました。
とはいえ、一般的なパソコンには通常一台のそれに複数のソフトウェアがインストールされていて、各々のソフトウェアによって操作感も多少なりに異なるため、重役たちのみならずパソコンに慣れた若い人たちにとっても不便を感じられるときが多々あるかもしれません。
ささいな問題のように思われますが、こうした細かいことの積み重ねが企業全体の生産性に及ぼす影響は実は計り知れないものがあります。
今、「Web 2.0」という言葉をあちこちで目に、あるいは耳にします。この Web 2.0 というのは、情報システムにおける業務処理の大部分をインターネット(ウェブ)の「向こう側」、つまりネットワークとサーバ・コンピュータに委ねてしまう仕組みであると私は考えています。
ということは、いろんなソフトウェアがゴテゴテとインストールされているパソコンの時代から、大型コンピュータ+端末機時代への回帰が起きていると言えなくもないんですね。
そうすると、ウェブの操作性はより優れたものが求められます。ここで言う「優れた」というのは、見た目的に優れているのは言うまでもなく、操作性が自然(ナチュラル)であるという条件が必須になります。
私は大型コンピュータの時代の業務用ソフトウェアはほとんど忘れてしまったのですが、当時はマウスが存在しなかったことを考えれば、それだけシンプルで入力のしやすい画面構成がなされていただろうと考えることができます。
具体的な例を挙げれば、Enter キーを押せば入力項目をどんどん先に進めることができ、最後に [送信] キーを押すことによってはじめてデータが送信されるといったような仕組みです。
しかし、今のウェブ・システムは、そこまでの配慮がされているものはいまだ少数派です。入力の途中で間違えて Enter キーを押そうものなら、データがその時点の内容で送信されてしまうといったケースはよくあります。
そこで、
「和人」さんが提案されている、Enter キーでフォーカスを移動するような仕組みは優れた利便性をもたらすんですね。
こういうノウハウがインターネット上で得られることについて、私はインターネットの発展に寄与された人々、そして「和人」さんのようにアイディアを惜しみなく提供してくださる人々には心からの敬意を表します。
エンドユーザの皆さんからすれば大したことでないように思われるかもしれませんが、こうした小さなところに技術者が知力を注いでいるということも忘れないでいただけるとありがたいです。まさに「神は細部に宿り給ふ」というところでしょうか。
このようなノウハウがあれば、ERP だって Web 2.0 よろしくすべてをウェブで構築することも可能になってきます。重たくて容量を食うクライアント・ソフトウェアをパソコンにインストールする必要もなくなります。
Web 2.0 とは、今まではコンシューマ(一般消費者)向けのサービスについてそれが語られる場合が多かったのですが、企業のエンドユーザとて普段はコンシューマであり、家庭と職場で共通の操作感で業務が行えるのであればそれに越したことはないはずです。
そういうシステムを作ることによって、企業社会の業務効率化に寄与できたらな、と矜持を新たにしているところです。
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